将棋界、歴代全冠独占達成者

どうもstsです。

本日のテーマは「将棋」です。

本日、第71期王座戦第4局が行われ、藤井聡太竜王名人が永瀬拓矢王座に勝利。シリーズ3勝1敗となり、王座を奪取。史上初となる八冠独占を果たしました。将棋界では史上4人目となる全冠独占達成者となりました。

ということで今回は将棋界における歴代の全冠独占を果たした棋士をまとめてみました。

それではさっそくどうぞ!

 

【二大タイトル時代】(1950年度)

タイトル:名人・九段

達成者:(なし)

二大タイトル時代の達成者はなし。というよりも制度上不可能でした。

名人戦しかなかったタイトル戦に新たなタイトル戦として九段戦が追加されます。しかし九段戦には名人が参加できないというルールがありました。九段戦を制した棋士は、当時の名人と日本一を決める全日本選手権を行いました。また九段戦はタイトルとしてカウントされますが、全日本選手権はタイトルとしてカウントされない複雑なルールでした。そのため全冠制覇の達成者は三冠時代から数えることが多いです。

そのため名人が九段を獲るのは制度上不可能であり、二大タイトル時代の達成者いません。

 

【三大タイトル時代】(1951年度~1959年度)

タイトル:名人・九段・王将

達成者:升田幸三大山康晴

九段戦が創設された翌年、一般棋戦だった王将戦がタイトル戦に昇格。その後九段戦は第7期より名人も参加。これで全冠制覇が初めて制度上可能となります。

史上初の全冠独占達成者は、「新手一生」を掲げファンを魅了した升田幸三実力制第四代名人。王将を保持していた升田先生は、名人が参加できるようになった最初の九段戦で九段も獲得、そのまま春の名人戦でも奪取。史上初の全冠独占を成し遂げました。

二人目の三冠独占達成者は、升田先生の弟弟子、「不死鳥」大山康晴十五世名人でした。升田先生が三冠独占を達成した同年度、王将を奪い、三冠独占を崩すと、升田先生から続々とタイトルを奪い返し、ついには二人目の全冠達成者となりました。

 

【四大タイトル】(1960年~1961年)

タイトル:名人・九段→十段王位・王将

達成者:大山康晴

大山先生が三冠独占を果たした翌年度、準タイトル戦だった「早指し王位戦」がタイトル戦に昇格。新たに4番目のタイトルとして王位が加わりました。

初代王位を懸けて争うことになったのは、大山康晴名人(当時)と塚田正夫九段。結果は大山先生が4勝1敗1千日手でタイトル獲得。初代王位の座に就くとともに、三冠独占のまま四冠独占を継続する形となりました。

大山先生は初代王位の座に就くと、その後も王位戦においても圧倒的な強さを誇り、以後驚異の12連覇。大山先生の記録では名人13連覇に次ぐ連覇記録となるタイトルが王位でした。

 

【五大タイトル時代】(1962年度~1974年度)

タイトル:名人・十段・棋聖・王位・王将

達成者:大山康晴

大山先生の全冠独占がまだまだ続く中、棋聖戦が誕生。タイトル戦史上初となる1日制で五番勝負のタイトル戦。スピード感のある新たなタイトル戦でした。

初代棋聖を懸けて争ったのは、当時実力トップ3の大山康晴名人、塚田正夫九段、升田幸三九段。三つ巴の戦いで成績上位だった大山先生と塚田先生で五番勝負を行います。結果はまたしても大山先生が勝利。またしても全冠独占を継続する形となりました。

以上のように大山先生は自身初の三冠独占を果たした後、それを継続したまま四冠独占、五冠独占と立て続けに達成しました。大山先生は歴代最強の棋士といて挙げられることが多いですが、その理由がわかる記録です。

 

【六大タイトル時代】(1975年度~1982年度)

タイトル:名人・十段・棋聖・王位・棋王・王将

達成者:(なし)

前年は一般棋戦として行われていた棋王戦がタイトル戦に昇格。これに六大タイトル時代へと突入します。

この六大タイトル時代、全冠制覇を成し遂げた棋士は0。最も近づいたのは中原誠十六世名人でした。中原先生は四冠だった時に、大山先生から棋聖を奪取。五冠となり、この年度末、全冠独占を懸けて加藤一二三棋王に挑戦。しかし結果は敗戦となりました。

中原先生は五大タイトル時代にも四冠まで到達したものの、その最後の一つのタイトルの挑戦権を獲得できませんでした。中原先生は後年、「全冠に挑んだことがありますが、スケジュールや体力的に非常に大変なもの」とその難しさを語っています。

 

【七大タイトル時代】(1983年度~2017年度)

タイトル:名人・十段→竜王棋聖・王位・王座棋王・王将

達成者:羽生善治

長らく準タイトル戦として行われていた王座戦がタイトル戦に昇格。さらにその後十段戦竜王戦に発展的解消され、竜王・名人の二大タイトル時代が始まりました。

この七大タイトル時代唯一の達成者は羽生善治九段。1995年度、六冠まで到達し、夢の七冠独占を懸けて谷川浩司王将に挑むもフルセットの末、惜しくも敗退。夢の全冠独占は再び幻に終わったかと思いました。

しかし翌年度からのタイトルを全て防衛、さらには再び王将戦の挑戦者となり、七冠独占を懸けて再び対決。この年はストレートで奪取となり、史上初の七冠王達成は、将棋界の枠を超え話題を呼び、「羽生フィーバー」を巻き起こしました。

 

【八大タイトル時代】(2018年度~現在)

タイトル:竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖

達成者:藤井聡太

元々は人間とコンピュータと戦う「電王戦」の人間側の代表を決める非公式棋戦だった叡王戦。電王戦終了に伴い、叡王戦も終了かと思いきや、タイトル戦に昇格する形で継続。八大タイトルとなりました。

八大タイトルの全冠達成者は藤井聡太竜王名人。研究仲間でもある永瀬王座を破り、史上初、夢の八冠独占を果たしました。

藤井竜王名人は史上最年少プロ棋士としてデビュー。令和に入ってからは史上最年少で初タイトル棋聖を獲得。以降出場したタイトル戦では全て勝利を収め、全冠独占を成し遂げました。全冠独占、タイトル戦連勝記録はどこまで続くのでしょうか。

 

 

以上のようになっています。

表にしてまとめると以下の通りです。

タイトル数

達成者

二大タイトル時代

(制度上不可能)

三大タイトル時代

升田幸三大山康晴

四大タイトル時代

大山康晴

五大タイトル時代

大山康晴

六大タイトル時代

(達成者なし)

七大タイトル時代

羽生善治

八大タイトル時代

藤井聡太

事実上の全冠独占が可能となった1956年度から現在まで、65年以上経ちますが、全冠独占を果たした棋士は、今回の藤井聡太先生を含めわずか4名しかいません。それだけ全冠独占は難しく、どれだけの偉業かというのがわかります。

中でも際立つのが大山先生の凄さ、三冠独占→四冠独占→五冠独占とタイトルを失うことなく、継続して全冠独占。史上最強の棋士として常に名前が挙がる大山先生ですが、その理由が理解できますね。

全冠制覇を成し遂げるためには、奪取することはもちろん、防衛することも必要不可欠となり、突出したものがなければ成し遂げれるものではありまし、ハードスケジュールをこなす体力も必要となってきます。そんな中達成した藤井聡太先生は

これから藤井聡太先生の八冠独占はどこまで続くのか、全冠独占の牙城を崩すのは誰になるのか。これからの将棋界にも注目です。

ではまた!