将棋界歴代王将

どうもstsです。

本日のテーマも「将棋」です。

本日、藤井聡太王将と羽生善治九段による王将戦第6局が行われ、藤井聡太王将が防衛を決め、王将2連覇、そして五冠保持を果たしました。「平成の天才VS令和の天才による世紀の一戦」と呼ばれた戦いは、どれも内容の濃い戦いでしたね。

今回の王将は歴史的一戦ということで、非常に注目集めたシリーズでもありました。ということで今回は歴代の王将をまとめてみました。

それではさっそくどうぞ!

 

升田幸三実力制第四代名人(3期獲得)

前年は一般棋戦だった王将戦が、1951年度よりタイトル戦に昇格。その記念すべき第1期挑戦権を獲得したのは、「新手一生」を掲げファンを魅了し続けてた升田幸三先生でした。当時の名人木村義雄先生にと対決するといきなり指し込みを果たし、見事第1期王将の座に就きました。その後第5期王将戦で大山王将(名人)に対して再び指し込み、香落ちの対局すら勝利。「名人に香を引いて勝つ」と自身が幼少の頃に掲げた目標も果たし、三冠を達成するなど当時、将棋界で最強の座に就いていた人物でした。

第1期:升田幸三(初)

 

 

大山康晴永世王将【十五世名人・永世十段永世王位・永世棋聖】(20期獲得)

初代永世王将王将戦の歴史を語る上で欠かせない存在です。第2期の王将で初の王将を獲得すると、通算でなんと20期(!)獲得。大山先生が最も多く獲得したタイトルでもありました。王将戦では最大9連覇、56歳の時には王将を奪取し、3連覇を達成するなど、年齢を重ねても獲得し続けたタイトルでした。また大山先生は長らくタイトルを保持していましたが無冠になった際、その実績から他の棋士と同じ同列の九段では呼べないということで、特例で永世王将を現役のまま就位した棋士でもありました。

第2期:大山康晴(初)

第3期:大山康晴(2期目)

第4期:大山康晴(3期目)

第5期:升田幸三(2期目)

第6期:升田幸三(3期目)

第7期:大山康晴(4期目)

第8期:大山康晴(5期目)

第9期:大山康晴(6期目)

第10期:大山康晴(7期目)

第11期:大山康晴(8期目)

 

 

二上達也九段(1期獲得)

当時王将を5連覇、全冠独占を約4年間続けていた大山先生を破ったのは「北海の美剣士」二上達也八段でした。二上先生は、若手時代から打倒大山先生への期待の若手として注目されており、大山先生の王将5連覇中の時に挑戦者といて挑戦していましたが、2度敗退していました。しかし第12期、自身3度目の挑戦権を得ると4勝2敗でタイトル奪取。自身6度目のタイトル戦挑戦で、ついに大山先生の牙城を崩した瞬間であり、大山先生の全冠制覇を崩した瞬間でした。

第12期:二上達也(初)

第13期:大山康晴(9期目)

第14期:大山康晴(10期目)※永世王将の資格獲得

第15期:大山康晴(11期目)

第16期:大山康晴(12期目)

第17期:大山康晴(13期目)

第18期:大山康晴(14期目)

第19期:大山康晴(15期目)

第20期:大山康晴(16期目)

第21期:大山康晴(17期目)

 

 

中原誠十六世名人【永世十段永世王位名誉王座・永世棋聖】(7期獲得)

大山先生の王将戦9連覇を止めたのは「棋界の太陽」中原誠十六世名人でした。中原先生は当時続いていた大山時代からタイトルを次々と奪っていっていました。この王将戦でもストレートでタイトルを奪い、大山先生は無冠、中原先生はタイトル5つの内、4つを手中に収める形となりました。中原先生は以後王将を6連覇。通算でも7期獲得しました。この期間はタイトルの過半数を中原先生が占める時代が続いており、文字通り中原時代の様相でした。

第22期:中原誠(初)

第23期:中原誠(2期目)

第24期:中原誠(3期目)

第25期:中原誠(4期目)

第26期:中原誠(5期目)

第27期:中原誠(6期目)

 

 

加藤一二三九段(1期獲得)

大山先生の9連覇後の中原先生の王将戦6連覇を止めたのは、「神武の以来の天才」加藤一二三九段でした。加藤先生は16歳の時に王将リーグ入り(最年少記録)し、過去3度王将戦の挑戦者として登場していましたが、3回とも大山先生の壁に阻まれており、4度目の挑戦で悲願の奪取となりました。奪取を決めた対局では、中原先生の中飛車に対して袖飛車で攻め、5筋の歩を突き捨てて攻めるという珍しい攻め筋を披露しました。また加藤先生は当時棋王も保持しており、自身初の二冠となりました。

第28期:加藤一二三(初)

第29期:大山康晴(18期目)

第30期:大山康晴(19期目)

第31期:大山康晴(20期目)

 

 

米長邦雄永世棋聖(3期獲得)

57歳で王将で奪取し、以降59歳まで防衛を獲得した大山先生から王将を奪ったのは「泥沼流」や「さわやか流」の愛称で親しまれた米長邦雄先生でした。王将リーグを全勝で勝ち抜くと勢いそのままに王将を奪取。すでに保持していた棋王と合わせて二冠へと復帰しました。米長先生は王将を通算で3期獲得。後に復位した時は「横歩も取れないお男に負けてはご先祖様に申し訳ない」という発言で話題を呼び、様々な面でもファンから注目を浴びた存在でした。

第32期:米長邦雄(初)

第33期:米長邦雄(2期目)

第34期:中原誠(7期目)

 

 

中村修九段(2期獲得)

7人目は55年組の一角で、「不思議流」の棋風で知られる中村修九段です。中村先生は当時六段で、一次予選からの参加でしたが、王将リーグに進出。またこの時二次予選を突破したのも全員55年組でした。王将リーグでは5勝1敗で挑戦権を獲得。王将戦では当時名人も保持する中原先生に開幕3連勝。名人に指しこむかと話題になりました。結果は4勝2敗で奪取。翌年も中原名人を再び下し、2連覇を果たしました。また弟子の香川愛生女流三段は女流王将戦で第35期・第36期と獲得。師弟で同じ期で獲得しています。

第35期:中村修(初)

第36期:中村修(2期目)

 

 

南芳一九段(3期獲得)

中村先生の王将を2連覇を止めたのは同じく「55年組」の一角であり、「地蔵流」でお馴染み南芳一先生でした。南先生はリーグ戦では6戦全勝で挑戦権を獲得すると、王将戦の七番勝負ではフルセットの末王将を奪取。保持していた棋聖と合わせて二冠に到達しました。翌年も55年組の島先生の挑戦を退け、タイトル通算3期で九段に昇段しました。南先生は先述の通り、米長先生に一度王将の座を奪われるも翌年すぐさまリターンマッチ。そこでリベンジを果たし、王将の座を奪い返す形となりました。

第37期:南芳一(初)

第38期:南芳一(2期目)

第39期:米長邦雄(3期目)

第40期:南芳一(3期目)

 

 

谷川浩司十七世名人(4期獲得)

王将の座に復位した南先生から王将を奪ったのは、こちらも「55年組」の一人であり、「光速の寄せ」でファンを魅了し続ける谷川浩司先生でした。谷川先生は王将を奪うと以後3連覇。3連覇の翌年挑戦者として現れたは、七冠独占に挑む羽生先生でした。下馬評は羽生先生有利でしたが、タイトル戦中に谷川先生は阪神淡路大震災で被災。苦しい状況の中、フルセットの激闘を制し、夢の七冠独占を阻み、関西の星として様々な希望や勇気を与えました。

第41期:谷川浩司(初)

第42期:谷川浩司(2期目)

第43期:谷川浩司(3期目)

第44期:谷川浩司(4期目)

 

 

羽生善治九段【永世王将永世竜王・十九世名人・永世王位名誉王座永世棋王・永世棋聖資格者】(12期獲得)

10人目は、「将棋界のスーパースター」にして平成の絶対王者羽生善治九段です。昭和の王将戦が大山先生を中心に回っていたなら平成の王将戦は羽生先生を中心に回っていました。先述の通り夢の七冠独占を果たしたのはこの王将戦。七冠達成後も王将戦は6連覇。以後奪われることはあっても翌年すぐさま奪い返し、大山先生に次ぐ永世王将の資格者となっています。近年は王将戦の舞台からは遠ざかっていましたが今年、52歳ながら王将リーグを全勝で挑戦権を獲得。蘇ったレジェンドが檜舞台で戦いました。

第45期:羽生善治(初)

第46期:羽生善治(2期目)

第47期:羽生善治(3期目)

第48期:羽生善治(4期目)

第49期:羽生善治(5期目)

第50期:羽生善治(6期目)

 

 

佐藤康光九段【永世棋聖資格者】(2期獲得)

当時七冠独占を挟み、王将を6連覇していた羽生先生の連覇を止めたのは佐藤康光八段(当時)でした。佐藤先生は、谷川九段や中原永世十段、米長永世棋聖、郷田棋聖などがひしめく王将リーグで破竹の6連勝。勢いそのままに王将戦へ挑みます。佐藤先生は棋王戦でも挑戦者になっており、羽生先生とのダブルタイトル戦に突入。この時は、三間飛車からの三段ロケットなど序盤から創意工夫を示した指し回しを示し、「モデルチェンジ」と評されました。佐藤先生は王将を見事奪取。棋王戦では敗退となりました。

第51期:佐藤康光(初)

第52期:羽生善治(7期目)

 

 

森内俊之九段【十八世名人資格者】(1期獲得)

12人目の王将は「鋼鉄の受け」で知られる森内俊之竜王(当時)でした。森内先生は米長永世棋聖の引退の対局などがあった王将リーグをプレーオフ末、勝ち抜き王将戦挑戦権を獲得。王将戦七番勝負でも盤石の強さで羽生先生から4勝2敗で王将を奪取。森内先生は自身初の二冠を達成。一方の羽生先生を11年ぶりの二冠としました。森内先生は、この年度で竜王も奪っており、翌年度の春の名人戦でも羽生先生から奪取し、一気に三冠になりました。

第53期:森内俊之(初)

第54期:羽生善治(8期目)

第55期:羽生善治(9期目)

第56期:羽生善治(10期目)※永世王将の資格獲得

第57期:羽生善治(11期目)

第58期:羽生善治(12期目)

 

 

久保利明九段(4期獲得)

羽生先生の永世王将資格獲得後も続けていた王将の連覇を5で止めたのは「捌きのアーティスト」久保利明九段でした。過去久保先生は羽生先生にタイトル挑戦を5度挑むも全て敗退していました。しかしこの時の久保先生は、ゴキゲン中飛車と石田流を武器に王将戦の挑戦権を得ると王将を奪取。ついに羽生先生の壁を越えた瞬間でした。また奪取を決めた第6局は「3連続限定合い駒」と言われる名局でした。久保先生は王将のタイトルを失った後も後に復位しており、自身にとって相性の良い棋戦でもあります。

第59期:久保利明(初)

第60期:久保利明(2期目)

第61期:佐藤康光(2期目)

 

 

渡辺明名人【永世竜王永世棋王・実力制第十五代名人資格者】(5期獲得)

王将位に復位した佐藤先生から王将を奪ったのは、「将棋界の冬将軍」渡辺明先生でした。渡辺先生は第62期で佐藤先生から王将を奪うと、同年度の棋王戦でもタイトルを奪取。当時保持していた竜王と合わせて一気に三冠に到達しました。王将は後に奪われてもその後復位。通算で5期獲得しています。渡辺先生は異名の通り、竜王戦棋王戦・王将戦といった冬の棋戦では圧倒的な強さを誇っており、竜王9連覇、棋王10連覇などその名にふさわしい活躍をされています。

第62期:渡辺明(初)

第63期:渡辺明(2期目)

 

 

郷田真隆九段(2期獲得)

15人目は「剛直流」の棋風で知られる郷田真隆先生。郷田先生は64期の王将リーグにて羽生善治名人とのプレーオフを制し、渡辺明王将への挑戦権を獲得。渡辺王将を相手にフルセットまでもつれ、結果は奪取。44歳での王将初獲得は今なお破られていない王将戦の最年長記録です。翌年は同世代のライバル羽生善治名人が挑戦者として登場。こちらも4勝2敗で防衛。自身初となるタイトルを防衛を果たしました。渡辺先生・羽生先生という将棋界の中心二人を倒しての王将2期獲得は数字以上に価値のあるものです。

第64期:郷田真隆(初)

第65期:郷田真隆(2期目)

第66期:久保利明(3期目)

第67期:久保利明(4期目)

第68期:渡辺明(3期目)

第69期:渡辺明(4期目)

第70期:渡辺明(5期先生

 

 

藤井聡太王将(2期獲得)

現王将は「令和の天才」藤井聡太先生です。藤井先生は第71期の王将リーグで開幕5連勝を達成。最終戦を残して挑戦権を獲得しました。タイトル戦は当時四冠の藤井先生と王将を合わせて三冠を保持する渡辺先生の対決。「三冠(王将)VS四冠(挑戦者)、併せて七冠」という構図は将棋界初であり、まさに頂上決戦の構図となりました。タイトル戦はストレートで奪取。史上最年少で五冠到達しました。さらに今年は羽生先生との対決が実現。「平成の天才VS令和の天才」と言われた勝負は大きな盛り上がりを見せました。

第71期:藤井聡太(初)

第72期:藤井聡太(2期目)

 

 

※その他の王将

坂田三吉贈王将【贈名人】

実力制の名人戦が始める前の時期に活躍。坂田先生は、関西の将棋界を語る上で欠かせない伝説の棋士で「関西の棋聖」として知られました。当時十三世名人を襲位していた関根金次郎先生とはライバル関係として知られ、端歩を突いた「南禅寺の決戦」「天龍寺の決戦」など有名な棋譜も多いです。坂田先生は1946年に亡くなるものの、後に作られた坂田先生の半生を描いた、戯曲『王将』と映画『王将』は記録的大ヒット。将棋界を超えて認知される存在となり、没後に王将と名人の称号が追贈されました。

 

 

木村義雄十四世名人(1回優勝)

1950年、名人戦の主催者が毎日新聞から朝日新聞に移行したことに伴い、新たなに毎日新聞主催で行われた新棋戦が王将戦でした。ただし当時はタイトル戦ではなく一般棋戦でした。初代王将を決める戦いは、まず名人の木村先生は確定。第1回の優勝者を決める、もう一人をA級順位戦の1位~5位による総当たりのリーグ戦で決めました。そこを勝ち抜いたのが丸田祐三八段。木村名人と丸田八段による戦いは、木村先生の4勝2敗で奪取。「常勝将軍」木村先生は、見事王将戦第1回の優勝者となりました。

 

 

以上のようになっています。

タイトル戦になってから王将を獲得した棋士は全部で16名です。

今期で72期目となった王将戦ですが、まだ16名しか誕生していないというのは少なく感じます。やはりその理由は大山康晴先生。一人で通算20期獲得。大山先生にとっては一番多く獲得したタイトルであり、現役で永世王将を名乗ったのも納得できます。

次に多く獲得したのは羽生善治九段の12期。谷川先生との七冠王を懸けた歴史的戦いから今年の藤井聡太先生との世紀の戦いまで、平成の王将戦は羽生先生が中心でしたが、令和に入っても羽生先生が登場してくるのに凄さを感じます。

今回記事を作成していても、昭和の期間は大山先生、平成は羽生先生の登場回数が多いのを痛感しました。令和の時代は藤井先生メインとなるのでしょうか。

陣屋事件~七冠独占~世紀の一戦・・・昭和から令和の歴史的出来事は王将戦で数多く起きてきました。これからの王将戦も楽しみにしています!

ではまた!