将棋界、タイトル連続保持記録

どうもstsです。

先日、第81期名人戦が行われ、藤井聡太竜王渡辺明名人に勝利。史上最年少での名人獲得は将棋界の枠を超え話題となりました。

これで藤井竜王は七冠に到達。史上初の八冠独占へあと一つと迫りました。一方渡辺先生は実に18年ぶりとなる無冠となりました。しかし逆をいえば18年間常に何かしらのタイトルを保持していたということになります。これも凄い記録です。

ということで今回は将棋界のタイトル連続保持記録をまとめてみました。同一タイトル連続保持ではなく、常に一冠以上保持していた期間ということです。

それではさっそくどうぞ!

 

 

1位羽生善治九段 27年9ヶ月

期間:1991年3月18日~2018年12月21日

第1位は「将棋界のスーパースター」羽生善治九段です。19歳で初タイトル竜王を獲得するも翌年失冠。無冠となりますが、半年後の棋王戦でタイトルを奪取し、そこから平成の終わりまで約27年間(!)何かしらのタイトルを保持していました。

七冠独占、永世七冠、タイトル通算獲得数歴代1位・・・数々の栄光がこの27年間の中には詰まっています。

 

2位渡辺明九段 18年5ヶ月 

期間:2004年12月28日~2023年6月1日

2位は「魔王」の異名で知られる渡辺明九段。渡辺先生は20歳の時に初タイトル竜王を獲得。そこから竜王は9連覇を達成し、初代永世竜王に。竜王失冠後も常に何かしらのタイトルは保持し続け、トップ棋士として君臨しています。

渡辺先生は羽生先生に次ぐ歴代2位となっていますが、初タイトル獲得からの連続タイトル保持記録では歴代1位となっています。

 

3位大山康晴十五世名人 14年10ヶ月

期間:1958年3月29日~1973年2月20日

3位は「不死鳥」大山康晴十五世名人です。この記録は升田幸三先生の三冠独占を崩して始まった連続保持記録。この期間で五冠独占、50期連続タイトル戦登場といった不滅の記録を打ち立てました。

大山先生は1973年からは久々に無冠となった際、その実績から他の棋士と同列の九段では呼べないということで特例で永世王将を名乗りました。

 

4位中原誠十六世名人 11年9ヶ月

1970年12月11日~1982年9月21日

4位は「棋界の太陽」と呼ばれた大名人、中原誠十六世名人です。中原先生は20歳で初タイトル棋聖を獲得その後、棋聖を奪われ無冠となりますが同年、十段を奪取。そこから長らくタイトルを保持しました。

中原先生も後に無冠となった際、その実績から他の棋士と同じ九段では呼べないということで、特例で現役のまま永世十段を名乗りました。

 

5位木村義雄十四世名人 9年6ヶ月

1937年12月6日~1947年6月6日

5位は「常勝将軍」木村義雄十四世名人です。木村先生は第1期名人戦で初代名人の座に就くと5連覇。当時は名人挑戦者を決める戦いは2年間行われていたため、10年間名人の座に就き、その強さは相撲の双葉山と並び最強の象徴として君臨しました。

木村先生は第6期名人戦でついに失冠。10年ぶりに無冠となりますが、前名人の称号が与えれ、引き続き棋界を代表する棋士として活躍しました。

 

6位谷川浩司十七世名人 8年5ヶ月

期間:1987年8月28日~1996年2月14日

6位は「光速の寄せ」でお馴染み谷川浩司十七世名人です。谷川先生は1987年に同世代の高橋先生から王位を奪うと、この期間で様々なタイトルを獲得。一時期は四冠を保持したものの羽生先生に七冠独占を許し、無冠となりました。

この期間の対戦相手を見ると、中原先生や米長先生、同世代の55年組、そして羽生世代。幅広い棋士との激闘が繰り広げられていたのがわかります。

 

7位大山康晴十五世名人 7年0か月

1950年7月7日~1957年7月11日

7位は再びランクイン、「将棋界の巨人」大山康晴十五世名人です。こちらは初タイトル獲得からの連続保持記録。大山先生はこの期間で名人を5連覇。木村先生以来、二人目の永世名人資格者となりました。

大山先生は保持していたタイトルを升田先生に奪われる形で無冠に。しかしそこから巻き返し、上記の歴代3位の記録に繋がります。

 

8位佐藤康光九段 6年4ヶ月

期間:2002年3月12日~2008年7月18日

第7位は、先日日本将棋連盟会長を勇退した佐藤康光九段。2002年に同世代のライバル、羽生先生から王将を奪取すると、同年棋聖も郷田先生から奪取。そこから棋聖のタイトルは6連覇。永世棋聖の資格はこの期間で得ました。

佐藤先生は深い読みの緻密流でお馴染み。また近年は向かい飛車をメインに独特な序盤戦術でファンを魅了し続けています。

 

9位米長邦雄永世棋聖 5年9ヶ月

期間:1981年3月12日~1986年12月18日

8位は「泥沼流」の棋風で知られた米長邦雄永世棋聖です。米長先生は1981年の棋王戦で中原先生から棋王を奪うと、その後様々なタイトルを獲得し、この期間中に四冠王にまで上り詰めました。

米長先生といえば、永世棋聖の称号でお馴染みですが、永世棋聖の資格もこのタイトル保持期間中に獲得したものでした。

 

10位中原誠十六世名人 5年5ヶ月

1982年12月21日~1988年6月14日

10位はこちらも再びのランクイン。「自然流」の棋風で知られる中原誠十六世名人です。中原先生は上記の4位の記録で無冠になった約3ヶ月後、十段を獲得して再びタイトルホルダーに返り咲きました。

この期間では、上の世代である大山先生やほぼ同世代の米長先生や加藤先生、下の世代の55年組など幅広く戦っています。

 

 

以上のようになっています。

渡辺先生は歴代2位の記録でした。上記でも記しましたが、初タイトル獲得からのタイトル連続保持記録は、ぶっち切っての歴代1位です。

それにしても羽生善治先生、渡辺明先生、大山康晴先生、中原誠先生、木村義雄先生、谷川浩司先生、佐藤康光先生、米長邦雄先生と、将棋界を代表する名棋士がズラリとランクインしていますね。

中でも羽生先生の27年は圧巻。羽生先生=タイトルホルダーという期間が長らく続いたため、感覚が麻痺してしまいますが、27年間無冠にならなかったというのは今冷静に考えると恐ろしいですよね。

ランキング時代は5位ですが、木村先生の記録も凄い記録。当時はタイトルが名人しかない時代であり、その一つしかない最強の座に10年間在位し続けたというのは当時の強さを示しています。まさに「常勝将軍」です。

また昔は長らくタイトルを保持した棋士に対しては、今さら他の棋士と同じ段位で呼ばないということで、何かしらの称号で呼ぶことがありました。

木村義雄十四世名人→無冠になった際、「前名人」を名乗る

大山康晴十五世名人→無冠の時に「永世王将」を特例で名乗る

中原誠十六世名人→無冠の時に「永世十段」を特例で名乗る

しかし近年は長らくタイトルを保持しても、特別扱いはせず、羽生先生や渡辺先生のように段位で呼ぶことが通例となっています。

現在タイトルを保持している藤井聡太竜王名人(2020年7月16日~)、永瀬拓矢王座(2019年5月11日~)はこの歴代トップ10入るところまで記録を伸ばすのでしょうか。注目です。

ではまた!