将棋界、最年少名人記録とトップ10

どうもstsです。

本日のテーマは「将棋」です。

本日、名人戦第5局が行われ、藤井聡太竜王渡辺明名人に勝利。シリーズ4勝1敗となり、名人を奪取。史上最年少名人の記録を打ち立てるとともに、史上2人目となる七冠達成者となり、大きな話題を呼んでいます。

ということで、今回は名人の最年少記録とそのトップ10をまとめてみました。

さっそくどうぞ!

 

1位藤井聡太竜王名人 20歳10ヶ月

2位谷川浩司十七世名人 21歳2ヶ月

3位羽生善治九段 23歳8ヶ月

4位中原誠十六世名人 24歳9ヶ月

5位佐藤天彦九段 28歳4ヶ月

6位佐藤康光九段 28歳8ヶ月

7位豊島将之九段 29歳0ヶ月

8位大山康晴十五世名人 29歳4ヶ月

9位丸山忠久九段 29歳9ヶ月

10位森内俊之九段 31歳7ヶ月

10位木村義雄十四世名人 32歳9ヶ月

 

以上のようになっています。

藤井先生に破られるまでの歴代1位は谷川先生でした。1983年に生まれた記録で40年ぶり(!)の記録更新となりました。藤井竜王にとっては最年少記録を更新するチャンスは今期のみであり、来年名人奪取なら歴代2位となっていました。1度しかないチャンスをものにできる勝負強さも光ります。

そして歴代トップ10を見るとそうそうたる先生方が揃っています。

それでは詳しい解説もどうぞ!

 

1位藤井聡太竜王名人 20歳10ヶ月

1位は今回、最年少名人の記録を打ち立てた藤井聡太竜王名人。プロ入り当初から最年少記録を塗り替え続ける時代の寵児です。

藤井先生は、史上最年少棋士そして史上5人目の中学生棋士としてプロ入り。C級1組で1年足踏みした以外は毎年昇級。A級も1期目で挑戦権獲得となりました。

藤井先生はタイトルを6つ保持している状態で名人戦に登場。名人を3連覇中の渡辺明名人との対決となりました。史上最年少名人の記録がかかる大注目のシリーズでも臆することなく、4勝1敗で奪取。谷川浩司先生の記録を40年ぶりに更新する最年少名人、羽生善治先生以来となる二人目の七冠達成者となりました。七冠達成となり、夢の八冠独占まであとは王座1つのみとなりました。史上初となる夢の八冠独占に向けて、藤井先生の戦いはまだまだ続きます。

 

2位谷川浩司十七世名人 21歳2ヶ月

2位は「光速の寄せ」でファンを魅了しつづける谷川浩司十七世名人。昨年は最年少名人などの功績が認められ、十七世名人を特例で現役のまま襲位しました。

谷川先生は史上2人目の中学生棋士としてプロ入り。C級2組で1年足踏みした以外は毎年昇級を果たし、A級も1期目で挑戦権獲得。

谷川先生は勢いそのままに加藤先生から名人を奪取。当時の将棋界の「名人」といえば、大山先生や中原先生、加藤先生といった歴戦のレジェンド棋士というイメージが世間的にはありました。そんな中谷川先生は21歳で名人を獲得。「こんな若い人が名人なのか!」という衝撃を与えました。谷川先生の名人奪取は将棋界のイメージそのものを変えた出来事でした。また名人就位式での「名人を1年間預からさせていただきます。」という謙虚な発言はまたさらに大きな印象を与えました。

 

3位羽生善治九段【十九世名人・永世竜王永世王位名誉王座永世棋王永世王将・永世棋聖資格者】 23歳8ヶ月

3位は「将棋界のスーパースター」羽生善治九段。昨年度は前人未到の1500勝達成、藤井聡太王将との世紀の一戦は話題を呼びました。

羽生先生は史上3人目の中学生棋士としてプロ入り。順位戦でも順調に昇級を重ね、A級も1期目で挑戦権を獲得しました。

羽生先生は当時四冠。七冠独占に向けて歩を進めている時期でした。この前年米長邦雄先生が悲願である初の名人を獲得。その就位式で来年挑戦者としてやってくると予言していた通りの結果となりました。羽生先生はこの名人戦を4勝2敗で、見事奪取。五冠復帰となり夢の七冠へとまた一歩近づき、この年度末の王将戦で七冠独占に向けて戦うこととなりました。羽生先生はこれ以降名人戦の舞台には幾度となく登場。通算9期獲得しており、引退後に「十九世名人」を襲位予定です。

 

4位中原誠十六世名人【永世十段永世王位名誉王座・永世棋聖】 24歳9ヶ月

4位は「自然流」の棋風で知られた中原誠十六世名人。名人は9連覇を含む通算15期獲得。自身が最も多く獲得したタイトルでもありました。

中原先生は18歳でプロ入り。プロ入りからはノンストップでA級まで昇級。A級も2期目で挑戦権を獲得、しかも初の全勝での挑戦権獲得というおまけつきでした。

中原先生は当時棋聖と十段の二冠。相対するは、名人を含む三冠も保持していた大山名人でした。大山先生は当時名人を13連覇中。中原先生は大山先生にタイトル戦で勝利したこともありましたが、当時はやはり「名人戦で勝ってこそ本物」という風潮がありました。番勝負は大山先生が先に防衛に王手をかけるも、中原先生がそこから振り飛車を連採。この作戦が功を奏し、カド番から連勝。大山先生とのタイトル保持数も逆転し、長く続いた大山名人時代を止める歴史的瞬間となりました。

 

5位佐藤天彦九段【実力制第十三代名人資格者】 28歳4ヶ月

5位は「貴族」のニックネームでファンの方から親しまれる佐藤天彦九段。ファッションなどにこだわりを見せる棋士として有名です。

天彦先生は18歳でプロ入り。C級2組で足踏みしますが、B級1組を1期抜けすると、A級も1期目で挑戦権獲得。当時は後手番での横歩取りを武器に活躍していました。

当時の名人は羽生先生。当時名には羽生先生か森内先生しか就かない状態が14年続いており、羽生世代という枠まで広げると18年間名人の座を羽生世代の棋士で回していました。結果、天彦先生は4勝1敗で名人奪取。長年続いた「羽生・森内時代」に終止符を打ち、新たな風を吹き込みました。天彦先生は名人を3連覇。引退後70歳で「実力制第十三代名人」を名乗る資格を得ています。3連覇中には、電王戦で当時最強ソフトの「ponanza」と戦い、名人がコンピュータと戦うという歴史的一戦も行いました。

 

6位佐藤康光九段【永世棋聖資格者】 28歳8ヶ月

6位は現日本将棋連盟会長として将棋界を引っ張る佐藤康光九段。「緻密流」と呼ばれる深い読みと独特な序盤戦術は常に注目の的です。

康光先生は17歳でプロ入り。順位戦では順調に昇級を重ね、A級も2期目で挑戦権を獲得。当時四冠の羽生先生をプレーオフで破っての挑戦でした。

当時の名人はこの前年に羽生先生から名人を奪い、十七世名人の資格を得た谷川名人。開幕からお互いに一歩も引かないシーソーゲームとなり、フルセットの末、名人を奪取。実力制の名人がスタートしてから記念すべき10人目の名人となりました。佐藤先生は翌年挑戦者としてリターンマッチにきた谷川先生の挑戦を再びフルセットの末破り連覇を達成。康光先生は、名人戦以外では棋聖戦で6連覇を達成。引退後に「永世棋聖」を名乗る資格を得ています。

 

7位豊島将之九段 29歳0ヶ月

7位は「きゅん」の愛称で親しまれる豊島将之九段。序盤、中盤、終盤隙がない棋風で安定した成績を毎年残しています。

豊島先生は16歳でプロ入り。順位戦では毎年好成績を収め、順調に昇級。A級も2期目での挑戦権獲得となりました。

豊島先生はプロ入り前からその才能は注目されており、史上最年少で奨励会に入会。プロ入り後もタイトルに20歳で登場するなどその実力を遺憾なく発揮していました。しかしタイトル挑戦はするもののなかなかタイトルには手が届かず。しかし2018年度に初タイトル棋聖を獲得すると、王位も奪取。そして初登場となった名人戦でも佐藤天彦名人に対して4連勝で奪取。タイトル獲得に苦戦した豊島先生でしたが、一気に三冠まで上り詰めました。

 

8位大山康晴十五世名人【永世十段永世王位永世王将・永世棋聖】 29歳4ヶ月

8位は「将棋界の巨人」大山康晴十五世名人です。大山先生は名人戦で無類の強さを誇り13連覇を達成。通算でも18期獲得しました。

大山先生はプロ入り当初は順位戦がなく、第1期順位戦ではB級からの参加。第2期では名人挑戦者になるなど、打倒木村名人を期待された若手でした。

大山先生は第11期名人戦で挑戦者として登場。自身2度目の名人戦でした。ここで大山先生は当時最強の木村名人を破りタイトル奪取。20代の名人は当時初であり、当時の最年少名人記録でした。またそれと当時に関西棋士にとっては初の名人誕生であり、西の棋士達が長らく望み続けた「名人の箱根越え」を果たした歴史的瞬間となりました。木村先生は順位戦に参加することなく、そのまま引退。一時代を築いた棋士から名人位が移る歴史的シリーズとなりました。

 

9位丸山忠久九段 29歳9ヶ月

9位は「激辛流」と呼ばれる辛い勝ち方を得意とする丸山忠久九段。丸山九段も羽生先生や康光先生、森内先生などと同じく「羽生世代」の棋士です。

丸山先生は19歳でプロ入り。順位戦では順調に昇級を重ねていき、B級1組では史上初の全勝を果たすといった快挙も成し遂げました。

丸山先生はA級2期目で挑戦権を獲得。名人戦の相手は同じ「羽生世代」の佐藤康光名人でした。名人戦では、先手番なら角換わり、後手なら横歩取り△8五飛車戦法といった丸山先生の得意戦法を佐藤先生が受けて立つという展開に。シリーズを通して戦型が2つしかし現れない珍しいシリーズとなりました。戦いはフルセットまでもつれ、丸山先生が奪取。角換わりと横歩取り△8五飛車戦法における無類の強さを証明する結果となりました。翌年は永世名人資格者の谷川先生の挑戦を受けるもこの年も防衛。名人を通算で2期獲得しています。

 

10位森内俊之九段【十八世名人資格者】 31歳7ヶ月

10位は「鋼鉄の受け」の棋風で知られる森内俊之九段。近年は自身のYouTubeチャンネル「森内俊之の森内チャンネル」を立ち上げています。

森内先生は16歳でプロ入り。順位戦では圧倒的な強さを誇り、順位戦だけで26連勝を達成(歴代1位)。A級も1期目で挑戦権を獲得していました。

A級1期目で挑戦権を獲得し、羽生先生と二人合わせて50歳の最年少名人戦は話題を呼びましたが、奪取はならず。以降毎年高勝率は残すもののなぜかタイトルには手が届かず「将棋界の七不思議」の一つとまでされていました。しかし名人初挑戦から6年後第60期名人戦にて丸山名人から名人を奪取。30歳を越え、ついに初タイトルを獲得し、将棋界の七不思議を打ち破った瞬間でした。森内先生は名人戦では無類の強さを発揮。通算で8期獲得しており、引退後に「十八世名人」を襲位予定です。

 

以上のようになっています。

どの棋士も歴史に名前を残す、凄い棋士ばかりです。

また「名人」という称号は江戸時代からあり、他のタイトル戦とは比べものにならないぐらい、圧倒的な古い歴史をもっていることもあり、必然的に注目度も高くなります。そのため新名人が誕生した時は、ニュースとなり、またさまざまなドラマが生まれてきました。

(例)

・藤井竜王名人→史上最年少名人記録更新。史上2人目の七冠。

・谷川十七世名人→史上最年少名人記録更新。

・羽生九段→七冠へのヴィクトリーロード

・中原十六世名人→史上最年少名人記録更新。大山先生の13連覇を止める

・天彦九段→羽生先生・森内先生時代を止める

・大山十五世名人→史上最年少名人記録更新。名人の箱根越え

etc・・・

今回藤井聡太竜王は、渡辺明名人から名人を奪い、40年ぶりとなる最年少記録更新となり、歴史的瞬間となりました。八冠独占に向けて残るタイトルは王座のみとなりました。そして王座戦の挑戦者を決めるトーナメントは現在進行中で、藤井竜王名人はベスト8に残っています。

最年少名人に続いて今年中の八冠独占となるのか。まだまだ藤井竜王名人の活躍、将棋界の動向に目が離せません!

 

ではまた!