先日、豊島将之名人と木村一基九段の竜王戦挑戦者決定戦三番勝負の第3局が行われました。
戦型は豊島名人の先手となり、戦型は角換わりとなりました。結果は豊島名人の勝利となり、竜王戦の挑戦者に決まりました。一方敗れた木村九段は王位戦でのリベンジに注目ですね。
これで豊島名人は、竜王を奪取すると、竜王名人という将棋界のビッグタイトル2つを手中に収めることとなります。
ということで、今回は竜王名人を過去同時保持をした棋士をまとめてみました。さっそくどうぞ!(段位や称号は当時のものが混ざってます。)
①羽生善治九段
最初に二大タイトルを同時保持したのは永世七冠でお馴染み、羽生善治九段でした。
1994年、羽生善治四冠(当時)はこの一年前に49歳で名人を奪取し、「50歳名人」として将棋界を越えて有名になっていた米長邦雄名人に挑戦。見事奪取し、五冠となると同年秋の竜王戦では、昨年奪取された佐藤康光竜王へリターンマッチ。こちらも奪取しついに六冠。年明けの王将戦から七冠に挑みました。(王将は奪取失敗。)
さらに翌年は、竜王・名人に加え、保持していたタイトル全て防衛。勢いそのままに夢の七冠を達成しました。
そこから竜王・名人の同時保持は長らくありませんでしたが、2003年、当時保持していた竜王に加え、森内俊之名人からストレートで奪取した名人を加え、3度目の竜王・名人となりました。
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②谷川浩司九段
続いては、高速の寄せでファンを魅了する谷川浩司九段。
谷川先生は、竜王と名人それぞれの経験はありましたが、同時保持することはなく、先に羽生先生に達成され、さらに七冠達成を目の前で達成されました。
しかし翌年、ここから谷川先生の逆襲が始まります。無冠となった谷川九段は、当時七冠達成後、棋聖を奪取され六冠となっていた羽生竜王名人に竜王戦で挑戦。見事奪取し、竜王の座を奪います。またこのシリーズはあの伝説の△7七桂で有名なシリーズです。
そしてさらに翌年の春の名人で名人挑戦者となると、こちらも奪取し、竜王名人の二大タイトルを手にしました。当時は通算4期の谷川竜王と3連覇中だった羽生名人、どちらが先に永世名人になるか注目されていました。そして通算5期目となった谷川先生は十七世名人の資格を得ることとなりました。
③森内俊之九段
3人目は「鋼鉄の受け」で知られる森内俊之九段。
森内先生は、羽生先生にタイトル戦ではなかなか勝てず、上記にもあったように羽生先生に名人戦でストレートで敗れ、九段となっていました。
しかし同年秋の竜王戦で逆に挑戦者となると逆にストレートで奪取。さらにA級順位戦では史上初となる9戦全勝で名人挑戦者になると勢いそのままに昨年奪われた羽生善治名人から名人も奪取。竜王戦と名人戦の間で行われていた王将戦でもタイトルを奪っており、一気に三冠となりました。
そして時は約10年流れ、2013年。当時、名人を保持していた森内俊之名人は、竜王戦の挑戦者となります。当時の竜王は、9連覇中と竜王戦で無類の強さを誇っていた渡辺明竜王でした。結果は見事奪取。保持していた竜王と合わせて二度目の竜王・名人となりました。ちなみに40代になって二大タイトルを当時保持したのは森内先生とのみです。
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全員が永世名人有資格者ですね。それだけ同時保持をするのは圧倒的な強さが必要といえそうです。
ちなみに同時保持ではありませんが、竜王と名人を経験した棋士としては、佐藤康光九段がいます。こちらも永世棋聖有資格者です。
さて、豊島名人は、永世名人3人に続く竜王名人同時保持を達成できるのか、はたまた広瀬竜王が連覇を達成するのか、竜王戦七番勝負が楽しみです!