名人20周期説

本日はA級順位戦の8回戦のラス前一斉対局が行われています。

挑戦権争いは、羽生善治九段・広瀬章人竜王豊島将之二冠に絞られています。

名人挑戦者は誰になるのか。非常に興味深いですね。

 

ところで「名人20周期説」というものをご存知でしょうか。

名人を獲得する棋士は約20年周期で現れるというものです。

なぜこのようなものが出始めたのかというと、実力制以降の永世名人の最初の3人にあるといえます。

 

木村義雄十四世名人(通算8期獲得)

実力制で初代名人となりそこから5連覇。一度その名人の座は奪われますが後に復位し3連覇しました。当時はタイトルが名人しかなく、その中で一つしかないトップ座を約10年君臨し続けたと考えると凄さがわかります。

 

大山康晴十五世名人(通算18期獲得)

木村義雄十四世名人が2度目の復位から3連覇していたのを止めたのは「将棋界の巨人」大山康晴十五世名人でした。木村名人から名人を奪うと5連覇。一度は失冠しますが復位した後そこから驚異の13連覇を果たし長らくトップの座に着きました。

 

中原誠十六世名人(通算15期獲得)

長らく続いた大山名人時代に終止符を打ったのは「棋界の太陽」中原誠十六世名人でした。大山名人の13連覇を食い止めると以後9連覇。その後は後に永世名人となる谷川九段と名人の座を争い通算で15期獲得しました。

 

この実力制以降の永世名人3人は年齢でいうとそれぞれ18歳差と24歳差。

ここでいわゆる大名人となる人物は約20年周期で現れるという説が生まれました。

 

そこで次に当てはまるのが

羽生善治九段(十九世名人有資格者・通算9期獲得)

中原誠十六世名人とは23歳差でこの20周期説に当てはめるのならばばっちり合います。長らく名人を連覇し続けるのかと思いきや、名人は最大で3連覇とそこまで長らく保持したわけではありません。なぜならばあのライバル棋士がいたからです。

 

森内俊之九段(十八世名人有資格者・通算8期獲得)

羽生九段とは長らく名人の座を分け合い、羽生九段・森内九段以外の名人がなかなか誕生しないという状態が約15年続きました。そして凄いのが二人が同い年ということ。「羽生・森内の名人戦は春の季語」と谷川九段が語ったは有名なお話です。

 

ここで名人20周期説を「名人を多く獲得するある特定の棋士が20年周期で現れる」と定義するのでなく、「名人を多く獲得する棋士は20周期にあたる世代の人がなる」と定義するならば羽生九段・森内九段をワンセットで考えると二人だけで通算17期も獲得しており、さらに同じく同い年の佐藤康光九段と丸山忠久九段も合わせると羽生世代の棋士だけで18年名人の座を回していたため、まだこの説は正しいといえます。

そしてさらに羽生九段・森内九段から20周期説で辿ると

 

佐藤天彦名人(現在3連覇中)

羽生名人から名人の座を奪い、羽生世代以外の棋士で久々の名人の誕生となりました。ちなみに佐藤天彦名人は、羽生九段・森内九段とは18歳差これも当てはまっており、「第二のチャイルドブランド」と言われた世代でもあります。

 

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全体を通して見てみると

 

木村義雄十四世名人(通算8期)

 ↑

18歳差

 ↓

大山康晴十五世名人(通算18期)

 ↑

24歳差

 ↓

中原誠十六世名人(通算15期)

 ↑

23歳差

 ↓

羽生善治九段(十九世名人有資格者)

森内俊之九段(十八世名人有資格者)

(同い年の二人で通算17期)

 ↑

18歳差

 ↓

佐藤天彦名人(3連覇中)

 

果たして佐藤天彦名人がこのまま20世名人となり大名人となるのか、はたまた「羽生九段・森内九段パターンで同世代の棋士で回すのか。それとも今までのは周期的なものは単なる偶然で他の棋士が連覇するのか。

このような周期的なものもみながらタイトル戦を分析するのも面白いですよね。