前竜王・前名人という称号

昨日は竜王戦第3局でした。
意表を突く羽生棋聖の先手中飛車に対して、渡辺竜王は一直線穴熊で対抗。羽生棋聖穴熊に囲い、敵陣に打ち込んだ飛車を竜にして自陣引き、長引く展開かと思いましたが、遠見の角からの歩の手筋で渡辺竜王が羽生棋聖穴熊を攻略。1勝を返しました。
これで渡辺竜王の1勝2敗。渡辺竜王がまだ不利ですが、次は先手番なのでまだわかりません。羽生棋聖は次の戦法にも注目ですね。

ところで「前竜王」や「前名人」という称号をご存じでしょうか?最近将棋を覚えた方は聞き慣れないかもしれませんが、竜王、もしくは名人のみ保持していてそれを奪われた場合に1年間呼ばれる称号です。
過去には「羽生前竜王」や「中原前名人」と呼ばれていたときも実際にありました。
ちなみに序列の位置づけとしてはタイトルホルダー→永世称号者→前竜王・前名人となっています。

しかし森内竜王(当時)や糸谷竜王(当時)が竜王を奪われたときは、前竜王と呼ばれず段位で呼ばれていました。
そうなんです。近年は「前竜王」や「前名人」という称号を断る人が多いんです。昔は断るという概念すらなく皆当然のように呼ばれていましたが、谷川浩司九段が当時その称号を断ったことにより、他の棋士も断るようになりました。あくまで推測ですが、「前竜王」や「前名人」より九段としてまた一からやるという自分への戒めがあったのではと私は考えています。そして実際に谷川九段は後にタイトルホルダーに復帰します。そのようなこともあり後の棋士も名乗らなくなったのではないかと考えています。
そのためここ20年ぐらいは呼ばれていませんが、後に呼ばれる棋士は出てくるかもしれません。

さあそして次の竜王戦第4局も目が離せません!渡辺竜王が追いつくのか、羽生棋聖が奪取へ王手をかけるのか!本当に楽しみです!